築40年を超える一戸建ての改修に、西南サクラの無垢フローリングをご採用いただきました。
40種とも60種ともいわれるカバノキ科カバノキ属(birch/バーチ、カバ)の中でも、中国の西南地方で採れる黄白色~ピンク色がかったものが『西南サクラ』の通称で親しまれています。
西南サクラの特徴は、しっとりとした滑らかな木肌と落ち着いた木目、それに居心地の良い「ほどほど」の硬さという、控えめながら「やさしさ」を感じさせる、品の良さ。
これまでは節や『かすり』と呼ばれる黒い筋が入らない整ったグレードの材が好まれてきましたが、無垢フローリングの認知度の高まりとともに、近年は素材感の強い、「自然素材らしい」表情のグレードにも評価・関心が集まってきています。
こちらのスーパーワイルドグレードは、そんな西南サクラの様々な部位を使用し、素材感を凝縮したようなグレード。大きな色幅があり、節があり、かすりがあり...と力強い生命力を感じさせる表情ながら、不思議と粗雑さやうるささといった印象がなく、西南サクラらしい柔らかな雰囲氣を備えています。近しい素材感と、差異のある硬さや木肌の質感という点で、杉をご検討の方の比較用としても面白いフローリングです。
今回のフルリノベーションでは、1階・2階の全面にこのフローリングをご採用。三方向を家に囲まれた立地ということでしたが、大きな吹き抜けを設けることで明るく開放感のある空間を実現しています。様々な角度から質・量の異なる光が入ることで、ふとしたときに見える光(あるいは影)の作り出す美しさが印象的なお住まいです。
設計:宮本善州建築設計事務所