クライアントの嗜好やオン/オフの過ごし方、「こう在りたい」と思う『軸』をもとに、一過性のものではない、時を経ても住む人と呼応する『スタイル』のある空間を創り上げる、向坂建築設計事務所様。都内のビンテージマンションのフルリノベーションに、アメリカンブラックチェリーのマルチレイヤーをご採用いただきました。
スチールのドア枠、コンクリート現しの壁面、ブラス(真鍮)製の金物といったクールな印象の素材の中にも、壁面ごとにテクスチャーの異なるモルタルの仕上げや、ゆるやかに室内を仕切るガラス扉など、心地良い「ゆらぎ」と「人の手」の温度を感じさせる、こちらのお部屋。配線や照明を極力目立たなくすることで、ミニマルで静謐な雰囲気を漂わせています。
玄関から開放感のあるLDへと延びていくのは、130mm幅の『一枚もの』。長さ1818mmの一枚ものは、継ぎ目が少なくスッキリとした仕上がりになり、幅広の一枚ものならではの『抜け感』がお部屋を寛いだ印象に。アメリカンブラックチェリー材は劇的な経年変化が大きな特徴で、ベージュ寄りで木目が強く感じられる当初の状態から、次第に赤みを伴って深みを増していき、それとともに木目の主張が弱まって非常に上品な表情へと変化します。時を重ねるほどに、つややかに滑らかにその趣を深めていくチェリー材は、まさに「時を経ても住む人と呼応する」素材と言えるでしょう。
設計:
向坂建築設計事務所
使用木材 |
アメリカン ブラック チェリー 複合(挽板)一枚もの(床暖房兼用)ナチュラルフローリング (AC9OS) |
施工現場 |
東京都 個人住宅 |
塗装状態 |
オスモ自然塗装 |